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                          6550A 超三極管接続  ver.2 シングルアンプ
   

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Special Thanks

進化するパワーアンプ
超三極管接続 6550シングル


定本
トランジスタ回路の設計
続・トランジスタ回路の設計

鈴木 雅臣 著







 

   

 

6BM8超三結Ver.1アンプを作らせて頂いた初期の頃より、
「どうしてこのアンプにはこんなに一杯半導体がくっ付いているんだろう」と、
回路を理解出来ずに不思議にしか思えなかったアンプを作らせて頂く時がやって参りました。

勿論今でも、カスコードだぜエミッタ・フォロアだぜ安定化回路だぜと、上條様のご解説を拝読し
何となく分かった様な気がする様な気がする程度の理解度なんですが、全てを理解してから製作
しようなどと無謀な大志を抱いてしまったら、生涯製作することなど叶わないのは明らかです。

だから今、作りたいと思う今こそ作る時と、艱難辛苦を乗り越えて作らせて頂きます。


 

下 拵 え

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上條様の超三極管接続Ver.2アンプを、完全コピーで作らせて頂きたいという野望も、
現在では入手困難な部品が幾つか有るという現実の前に潰えてしまいました。

電源トランスは、最大許容電流より、ISOのMX-280を選んでみました。
C電源用巻線が70Vであり、π型フィルタの抵抗値を変更する必要がありますので、
整流直後の電圧を1.38倍と見積り、(96.6V-80V)/0.023A=722Ωと、ここには
1.6Kと1.3KΩの抵抗器を並列に投入すると-80V程かなぁ、と計算してみました。

280Vタップを用いれば、我が家の商用電源電圧の高さを鑑み、整流直後で380V程になるだろう、
という計算だったのですが、後で気付いた「 経典 」に記された「電流を一杯取り出せば、電圧は
下がっちゃうんだよん」法則に則れば、整流直後で370V辺りになるかも知れない悪寒が・・・。
上條様の回路図より、Q6のドレイン側が370Vでソース側が317Vの場合、電圧差は53Vとなり、
作例の77Vに比べ三割強も電圧差が少なくなる訳ですが、んー、堪忍して頂けますかねー。

供給電圧の低下につれ、Q6のゲート−ドレイン間にある47KΩも変更の必要がありそうです。
これを変更する為には、Q6のゲート電圧を特定する必要があるのですが、「定本」に依れば、
Trの0.6Vに相当するのがFETの場合は伝達特性と云うものらしいと、datasheetを引っ繰り返し、
どうやらこれは2V〜3Vらしいと妄想し、Q6のゲート電圧を320Vと断定してみました。
他にも、Q9のエミッタが308Vなのでベース電圧が308.6Vとなり、これに連なる
Q7のゲート電圧も308.6Vなので、ソース電圧が311.6Vにツェナーの9Vが上乗せされて、
Q6のゲート電圧は320.6Vと、この妄想で間違いは無い様な気がしないこともありません。
えぇ、よく判りません。えぇえぇ、作ってみれば判るでしょう、多分。

整流直後が380Vの場合、(380V-320V)/0.0016A=38KΩとなりそうですが、
整流直後が370Vの場合、(370V-320V)/0.0016A=31KΩとなりそうです。
うーん、どうしたものか。ここはどう転んでも良い様に、中庸の36KΩとすべきか。
いやいや、その中途半端さが設計に於いては命取りに成り兼ねないし。←素人の云う台詞かよwww

そもそもFETのゲートに掛かるのは電圧で、電流は殆ど流れないとのことなので、
この部分に流れる電流は皆ツェナーに流れるのだろうと、今度はツェナーのdatasheetを(ry
どうやらツェナーは0.2mAも流せば動作する様で、ならば370Vの場合、36kΩでも1.4mA近く
は流れそうと、要はこの抵抗値はどっちでも良かったのかも知れません。←人生遠回りorz

まぁ、最悪の場合は320Vタップを用いて、Q6や放熱板をヒィヒィ言わしめればいいや、と、
次善の策も・・・どこが次善なのかと・・・検討しておいて、次に進みましょう。


出力トランスは、手持ちのU-808となりました。
このトランスの最大重畳電流は130mAと、設計上流れるDC電流120mAに対し余裕が有りません。
こんな余裕の無い使い方をしても大丈夫だろうかと、何時もの有難い掲示板にて質問させて頂き、
善本様より、「定格内での使用なら、特に問題は無い」とのご教示を頂きました。
善本様、どうもありがとうございました。

・・・でも、定格に余裕が有れば、精神衛生上も余裕が出来て良い塩梅かも。(^^;
・・・でも、この上のサイズとなるとXE-20Sですが、貧乏人にはお値段が・・・ 。orz


放熱板は、LSIクーラー社の40F100L100です。
発熱の多そうな半導体は2種3個。Q6の消費電力が7〜8Wと見積り、これが2個で凡そ16W。
それと初段DC点火用のQ13も結構発熱しそうです。こちらも7W前後だろうかと見積り、
合計23W程度の発熱を任せられる放熱板をということで検討してみました。
ちなみに筐体上の制約もあり、横幅は100mm程度ということが選択条件です。

カタログに載ってる図表より、40F100L100の23W時の発熱を50℃弱と妄想してみました。
50℃といえば、体感温度では極めてアチチ状態のような気もしますが、この上の放熱量で、
通販可能なものは60F110L100となり、これまた貧乏人にはお値段が・・・orz状態です。
こちらだと温度が35℃辺りと、微温湯の人生を歩めて良い塩梅なんですけどね。

・・・まぁ雪国では、電気ストーブ代わりになって丁度良いと開き直って先に進みましょう。


整流直後の電解コンデンサは、日本ケミコンのRWE 500V 270μFです。
作例の220μF相当に比べ50μF増量中なのは、この程度の耐圧のネジ端子付ブロック
コンデンサでは、他に適当な容量のものが通販で見当たらなかった為です。
突入電流御一行様に於かれましては、50μF如きは誤差の範囲内と、
寛大なる御配慮を給わりたいと願う所存であります。

当初は普通の電解コンを使用すべく、KMGを入手済みだったのですが、涅槃の事情に因り、
奮発してネジ端子付ブロックコンの投入となってしまいました。果してその効果や如何!?


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半導体方面にも、既に入手困難なものが幾つか有りました。

Q1,Q8,Q11:2SK30(GR)
こちらは不動の定番品の様ですね。

Q2,Q4,Q5:2SD756A
こちらは、現在入手可能なのは2SD756(D)となる様です。
違いは、756AのVcboは140V、756のVcboは120V。(E)のhFEは400〜800、(D)のhFEは250〜500。
入手したのはDランクなんですが、多分大丈夫・・・なのかな。

Q3:2SB716A
こちらも入手可能なのは2SB716と、Aのサフィックスは付かない様です。

Q6:2SK719
入手可能の様です。

Q7:2SJ117
入手可能の様です。

Q9:2SD401
入手出来るのは、2SD401Aとなる様です。
違いは、Vcboが200Vで50Vアップになるのかな。それと重要な点は、fTが7MHzになることかな。
これは上條様のご解説に有る様に、fTが10MHz以下なので大丈夫でしょう、多分。

Q10:2SK310
入手困難の様です。ですのでサトー電気さんの在庫品から代替品を探してみました。
選択基準は、上條様の部品表に載っているスペックを満たすもの、です。
必須の項目は、耐電圧(Vdss)と耐電流(Id)と損失(Pch)だろうと、これらの項目を満たすものを
まず選び出し、その選んだFETのdatasheetをwebの奥底から引っ張り出して検討してみました。
が、基本知識の無い素人には、何を基準に、どれを選択すれば良いのか判りません。www
「gmは高い方が良いんだろうか。」とか「容量ってのは少ない方が良いんだろうか。」とか。

結局、知識の無い素人には判断の仕様も無いと、「ま、これでいいや」と決めかけたその時、
datasheetの最後に載っている、「逆回復時間」という項目が目に留まりました。
「ん?これはFRDやSBDで、時間が短い程良いとされる項目だよなぁ?」と記憶を弄り、
じゃぁ、この意味不明だった「立上り時間」とか「下降時間」とは、よく見かける方形波グラフの、
垂直部分がより垂直かどうかを判断する項目なんだろうかと思い至りました。
そう思いつつdatasheetを眺め、漸く先頭に記されている「高速度電力スイッチング用」の
分類の意味に気付きました。・・・気付くの遅過ぎです。・・・orz

更に紆余曲折を経て、2SK310の代替品として2SK1153を手配してみました。
この選択が正しいかどうかは不明です。他に最適な代替品が存在するかもしれません。

Q12:2SC1815(GR)
我が世の春を謳歌する、今が旬の定番品の様です。が、使用しません。

Q13:2SD718
こちらも入手困難の様です。Q12とダーリントン接続して用いるのですが、
どうせ入手出来ないのなら、内部ダーリントン接続のTrが手間が掛からないのではと、
2SD1436辺りを使用しても問題は無いか、上條様に質問をさせて頂きました。
「いんじゃね」とのご回答を頂き、ここには代替品として2SD1436(K)を手配しました。
その際、Q12,Q13のhFEが約30,000辺りと予想されるのに対し、
2SD1436のhFEは4,000辺りと激減しそうなので、ベース部の0.1μFも増量すべきかも
合わせて質問させて頂いたところ、「いらないんじゃね」とのご回答でした。

うーん、素人の知識では、ここはhFEとCの容量が肝のリプル・フィルタ回路だと
思っていたんですが、「hFEはあんまし関係ねぇー」とのことです。うーん・・・。

その後、超三極管接続Ver.1 16A8シングル ステレオパワーアンプに於いて、
「固定バイアスで使う場合は、プレート電源と第2グリッド電源とヒーター電源の安定化が不可欠」
と記されているのに気付き、6550A STC Ver.2は固定バイアスであるが故に
ヒーター電源を安定化する目的の回路っだったのかと知るに至りました。

でも今度は、電源電圧の変動と、ヒーター電圧の安定化の関係がよく判りません。
えぇ、難しいです。えぇえぇ、アンプを作るということは難しい事だらけです。・・・orz

ま、今はそんなの関係ねぇーとばかりに、さっさと次に逝っときましょう。


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再び登場、ぺるけ様の半導体特性簡易測定器でございます。
回路図では、Q4,Q5のバイアス用には赤色LEDの指定です。
折角のLEDが筐体内で密やかに灯っているのは余りに勿体無いと、これを電源ランプと兼用し、序に橙色に変更して6CS7をライトアップしようと考えました。その為には、橙LEDの電圧に応じて、Q4,Q5のエミッタ抵抗値を変更し、流れる電流量を同じにしなければと、橙LEDの電圧を計ってみることにしました。

偶然にも、赤色LEDの1.865Vに近い1.837Vでした。
(1.837V-0.62V)/0.006mA=202.8Ωと、変更の仕様が無い抵抗値
なので、この部分は回路図の通りの定数で逝きましょう。
それにしてもこの半導体特性簡易測定器、便利な逸品かも。
こりゃ、きちんとケースに入れて作った方が良いなぁ。 

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初期配置案です。MX-280が余りにでかすぎて、何時ものP-11上ではこうとしか配置出来ません。P-11ではMX-280の巨躯を支えきれず、見た目のバランスも悪いですし、何より左右の出力管と初段管が隣り合う為、上條様のご解説に有る様に信号が飛び付き合い、クロストークがとんでもない事になりそうな配置です。

上條様のデザイン・モチーフが優美で剛健な日本の城郭ならば、こちらはさしずめ混沌と猥雑の象徴、九龍城ってとこですか。
このまま製作してしまっては上條様のお叱りを受けるのは必至と、新年早々、筐体の選定から遣り直してます。orz

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横幅300mmの上の寸法の筐体は概ね350mmとなりそうなので、
ざっと配置してみました。微妙に余白が有り過ぎの様な・・・。
候補としては、リードさんのS-3か、タカチさんのSRDSL-8辺り?
S-3は、お値段は魅力的ですが塗装が必須ですし、1.2tじゃMX-280の重量を支え切れ無さそうです←桟で補強すれ!
SRDSL-8は、見た目がご立派な分、お値段もご立派です。

うーん、P-11以上、SRDSL-8未満のボリューム・ゾーンが、すっぽり抜け落ちている様ですね、真空管アンプ筐体方面では。
さぁさぁ、この空白地帯に楔を打込み、市場を独占出来るのは御社しか御座居ませんぞっ!・・・とメーカーさんを煽ってみるテスト
あー、それとも鈴蘭堂さんとやらの二の舞になるんだろうか・・・。

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先ずはセオリー通り電源部からと、凡その配置を紙上で検討し、基板上に仮配置してみました。
実際に並べてしまえば殊更どうと言うことの無いこの配列に辿り着くまで一ヶ月・・・。
果たしてこの配置で良いのか悪いのか、判断の付かないところが悲しいところだったりします。

で、今はこの基板を眺めながら、信号増幅部基板やトランス等との配線関係を脳内シミュレーション
しているのですが、早くも問題点が有ったり無かったりして困ったもんだなぁ、と。
例えば、U-808側に配線材を先に半田付けしとかないと、筐体に取り付けてからでは困難でしょう。
すると、放熱板も筐体に取り付けてからQ6と半田付けとなり、面倒そうだなぁ、とか、
放熱板に取り付ける小基板は、裏面と表面の半田付けの順番を、Q6の螺子穴を固定しつつどう行うか、
とか、今暫くはじっくり悩んでみる必要が有りそうです。んー、なんだかなー。

・・・こりゃ、配置が悪かったんだろうか・・・orz

 

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電源安定化回路の根幹を成すQ6には、その直近に100Ωや0.01μFが寄り添うのが筋だろうと配置してみました。
ヒーター直流点火用のQ13は、中央部にお引越しです。
当初、回路図上の1S1588はベース電圧を0.6V上乗せする為のものだろうから、ツェナーを選別して7.7V辺りのものにして1S1588を取り去ろうと思っていたら、後でこの配置には温度補償という機能が有ると知りました。安定度が増すらしいです。
うーん、ヒーター点火に温度補償・・・そこまでするものなのか?
例の如く、素人には判断が付かないので付けときました。

勿論、1S1588の半田付けが完了した後で取付方向が逆だと気付き泣く、というお約束を履行済なのは言うまでもありません。

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一方の電源部基板の半田付けの息抜きに、何気に信号部基板
の部品を並べて遊んでいたら、これがまた面白難しくてついつい
半田付けもそっち退けで集中してしまいました。

我が偉大なる天然無能人力計算機は、最終的にこの二種類の
配置を捻り出しました。右側は、まぁ普通かもしれない配置です。
左側は、素子を一直線に並べ、星辰を揃えてみました。
こんなことやってると、LM3886 BTLの時みたいに大カタストロフィーを迎えそうなので、この配置はさっさと封印しときましょう。

・・・そんな遊んでないで、さっさと完成させたいんですけどねぇ。
でもまだアースの引回しとか、悩み処が控えてるんですよねぇ。

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えぇ、えぇ。奮発してSRDSL-8にしちゃいましたとも。
ヘアライン仕様が美しいなぁとか、黒塗装もしっかりしているなぁとか、肉厚で安心感があるなぁとか、流石お高いだけのことは有る筐体の様です。こんなに厚みがあると如何にも加工がし辛いだろうと思ったら、材質が柔らかい為か、容易に穴開けすることが出来ました。加工のし易さも考慮されている様で、伊達にお高いだけでは無いようです。

久しぶりに電動ドリルを手にしたら、何故か血が滾り、穴を開けまくらずには居られなくなりました。真空管周りも、もっともっと穴だらけにしまくりたかったんですが、自粛しました。
「ドリルは漢の本能です」は、蓋し真理かも。 

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その他部品を取付ける、L型アルミも加工しました。
B電源用の整流ダイオードは、サトー電気さんの在庫表にさり気無く登場していた新顔、12QHZ51を投入してみました。
ヒーター電源用もシリコン・パッケージで揃え、放熱に配慮です。

基板はC電源平滑用なんですが、製作途中「あれ?」と思い手が止まったものの、何が「あれ?」なのか気付かず組上げてみたら、配置を反転し忘れていたというお粗末さ。orz 
・・・はてさて、どうリカバリしたものか。
部品の都合でアキシャルリードのダイオード4本と100μFが5本という構成なんですが、部品点数が多いと手間が掛かること。
こんな小物は、最小の部品点数にして作るに限ると知りました。

c_11.jpg おぉ!漸くアンプ製作らしい雰囲気が漂って参りました。
先ずは放熱板をモノリスの如くおっ勃て、お次は出力トランスを据付けようとしたのですが、ここでお勉強が必要となりました。

回路図上ではPとBが逆に接続となり、ご解説よりXE-60は三段アンプ用のトランスらしいと見当が付きますが、じゃぁU-808は普通に接続して大丈夫だよなぁと思いつつ、各段毎に位相がどうなっているのか追ってみようと思ったら、行き成りカソード入力、プレート出力という変態行為を目の当たりにし、こりゃ素人の知識の範囲外だわぃとばかりにグーグル先生にお尋ねした所、
 こちら とか こちら などをご紹介頂きました。・・・ほう、成程。
流石グーグル先生、と言いますかトラ技先生、ありがとう。
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うーん、素人理解では、入力と出力段プレートが正相となる以外、内部は逆相で信号が往来している。・・・となるのですが、
うーん、嘘くせー理解度だな。

出力トランスは使い回しの為、以前の半田を綺麗に取除くこと
から始めました。「酸化」が云々で、そうするべきらしいです。
でも余り綺麗に取れてないですね。吸取り線の扱いが未熟です。
その後に半田を盛り上げとくと、配線が楽になるなぁと。
写真では半田が垂れ気味ですが、綺麗に盛り上げるコツは、
鏝でじっくり熱して半田を溶かすのでは無く、さらりと熱して
表面張力で盛り上げる、らしいと気付いたんですが、この技を
次に使う時には、きれいさっぱりと忘れてるだろうなぁ。

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各トランスの取付螺子を利用してL型アルミを取付ました。
C電源平滑基板は結局、穴を開け直して取付し直しました。
その結果、配線材が宙を舞いますが無理矢理押込みます。

放熱板からのB電源、ヒーター電源の配線も混み入ってます。
ご解説には、「Q6への配線が基板の配線と干渉すると、ハム
が出たり発振するために注意が必要」とあります。

脳内では綺麗に仕分けられていても、現実は甘くはないです。
この上に安定化基板が覆い被さる様に取付られるのですが、
どう見ても配線が干渉しそうです。本当に有難うございました。

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長らく放置状態だった安定化電源部基板も完成させましょう。
アースは結局、L,Rで個別に纏め、ラグ端子で一点に纏めると。
脳内では、もっと綺麗に仕上がる筈だったんですけどねぇ。www

使用した基板はサンハヤトさんのAT-48です。
ぺるけ様ご推奨の平ラグ板と、ユニバーサル基板の長所を兼ね備えた逸品かもしれないと思い投入してみました。
全20本のラグ端子中18本を使うという結果になり、これを普通の
ユニバーサル基板で製作していたら、配線材の取付がさぞや面倒なことになったであろうことは容易に想像出来、使って良かった実に有難い基板だなぁ、と思いました。
未使用の2本は、アースに落としておきましょうかね。

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完成した安定化電源部基板を取り付け、一応形になりました。
配線材を選り分けて、出来るだけ基板から離れる様、努力はしたのですが効果の程は定かではありません。

後は電源トランス周りの配線を施せば、いよいよ第一関門の電源部通電チェックです。いやー、正常に動作するんですかねぇ。

それぞれのブロック毎に完成後もチェックはした心算なんですが、それでも通電時には動作不良で「あれ?」と大騒ぎするのが常なもんで。一発完動間違い無しの製作技法って無いっすか?
んー、音も無く逝っちゃったら作り直しだなー。嫌だなー。

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さて、二ヶ月程のご無沙汰でございました。
その間には、やれ自作の森の樹海に迷い込むは、季節外れの
社畜状態に陥るは、気分転換に読書でもと「ハイペリオン」を十年振り位に手にしたら、余りの面白さに四部作一気読み状態となり、今は「エンディミオンの覚醒」の真っ最中とか、それはもう忙しくもヒマな日々を過ごしている訳ですが、それはさておき。

こちらは電圧チェック用部品ご一行様です。
電源コードには途中にフューズ端子を挟み込み、負荷抵抗器には750Ω10Wを四連装で誂えワニ口クリップを配線し、電源SWには六連タップのコンセント・SWを流用という万全の体制で通電チェックに臨みます。何やら素子が逝き易いらしいですので。

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で、3Aフューズを仕込み徐に電源を入れてみると、閃光と共にフューズが逝っちゃいます。5Aに交換しても同じです。
うーん、これは突入電流ご一行様にお許しを頂けない為なのか、それとも電源基板自体の配線ミスに因るものだろうか、問題点を明確にしないと先に進めないなぁ。
という訳で、先ずは突入電流の状態を確認すべく、電源部基板を取り去り、整流ダイオードと電解コンという状態で電源を入れてみたところ、それでもフューズは逝っちゃいます。

どうやらこれは突入電流の所為らしいと、対策を施すべくグーグル先生に問い合わせます。が、素人如きに理解出来るご解説は見当たりません。

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それでも、パワーサーミスタというものが突入電流対策の部品として有るらしいと、更に検索を重ね手作りアンプの会さんのこちらのコメントと出会いました。難しいことが書かれてますが、これを基に検討してみました。

実効巻線抵抗値を求めるべく、R1*巻数比^2+R2の式に数値を入れ、0.8Ω*2.8^2+26Ω=・・・いや、二次側は280-0-280だから二倍かな?じゃぁ、、巻線比は5.6^2になるのかな?うーん・・・
0.8*2.8^2+26=32.3Ω、或いは、0.8*5.6^2+52=77.1Ω、と、
無知故の豪華二本立ての解答を以て次に進みましょうか。
しかし、ご質問の実例と比べ、実測した巻線抵抗値がかなり高めです。何か間違えて計ってしまったのかなぁ。

c_18.jpg いやいや、この公式はこのまま用いていいのだと、32.3Ωを基に二次側の電流値を計算すると12.2Aとなり、一次側では34.2Aが流れるのかな?
素人の分際で何故こんな計算をしたかというと、数多有るサーミ
スタからどれを選べば良いのか見当を付ける為なんですが、通販で入手出来そうなのは限られた種類の様です。その中から8D2-13を選んでみました。これは8Ωなので、8.8*2.8^2+26=95Ωで電流値は4.2Aで一次側は11.8Aとなるのかな?こちら様のグラフを参照させて頂くと、電源投入後30mS程の時間を凌げれば、3A以下に落ち着きそうです。普通のフューズで30mSを凌げない様なら、スローブロー・フューズの出番ということで、取り敢えずパワーサーミスタを取り付けてみました。
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がしかし、それでも閃光と共にフューズは逝っちゃいます。
最早、電源トランスか電解コンか整流ダイオードの何れかが不良に違いないと、先ずは今回初めて使用してみた整流Di.12QHZ51を3TH41Aと交換し、パワーサーミスタ無しで通電してみました。
これだと、3Aフューズは切れますが、閃光はありません。
5Aだと問題無く電解コンに充電されます。
パワーサーミスタを取付けると、3Aで問題無く充電されます。

どうやらこれは12QHZ51の部品不良らしいなぁ、不良品に当たることもあるんだなぁ。と思いつつ、何度目かのdatasheetに目を通していたら・・・。

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諸君の愛した3Aフューズは逝った・・・何故だ!

シングルだからさ

・・・orz

其処に「シングル」と明確に記されているのに・・・
等価回路を見て、てっきりセンタータップだとばかり・・・
文盲>乙!

えぇえぇ、さっさと両面に二個付けて組み直しましたともさ。

c_21.jpg

 

とまぁ、莫迦素人が全然見当違いの方向へ全力疾走してみせた訳ですが、
お蔭様で何となくは突入電流への対応策も理解出来無くは無い状態になれたので、
これはこれでお勉強になったのだから良しということで。

さて、フューズも逝かなくなったところで、予定通り電圧調整を行うべく組み上げよう
と思ったのですが、高が整流Di如きで此れ程手間取るのだから、電源部基板では
更なる試練が待ち受けているに違いないと、いや、そうでなくてはならんのだとばかりに、
ご覧の通りのバラック仕様で組上げて電圧調整に臨むことに致しました。

うーん、それにしても危うい配置です。一触即発とはこんな状態のことでしょうか。
ベテランの方々の回路図は、こんなバラック状態での実験、調整、測定を経て
提示されるのだろうと思うと、アンプを自作するということは、実に大変な労力の上に
成り立っている趣味なのだなぁと、つくづく思い至ります。


ユニバーサル基板の向かいに配置された素子といつ短絡してもおかしくない、
火を噴くか電解液を噴くか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供はすっこんでろ。
とか、殺伐とした妄想をしながら電源ON!
パワーサーミスタの所為かどうか、じわじわと電圧が上がっていきます。
半固定抵抗器をくりくり廻して300Vに。
更に一分程様子見を。

電圧調整は、何事も無く成功裡に終了してしまいました。
・・・そんなぁ。もっといぢめて欲しかったのにぃ・・・。

かくなる上は、別の方向からいぢめられちゃいましょうか。
いえ、もう一つ些細な、実に些細な課題が残されていたりするのです。

 

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茶色の電解コンは高さが50mm。これにスペーサーの10mmと基板の2mmを加えると62mmなんですが、対してSRDSL-8の深さは55mm。考えるまでも無く電解コンが7mm程ハミ尻状態になってしまうのです。当初、筐体は深さが70mmのP-11を予定していたので、この電解コンでも大丈夫と見積もっていたんですが、予定変更の際、このことを綺麗さっぱりと忘れていたのでした。

仕方無いので、底板無しで完成させようと思っていたのですが、成り行き上、ここまでバラして仕舞ったからには新たに作り直して自己満足度を高めようと、チューブラー型をポチっとしてしまいました。壱号電源基板は、別のアンプでP-11を使用するその日まで塩漬けです。という訳で、ふ・り・だ・し・に戻るのでした。

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どうでもいい補足

現在入手出来る○芝さんの半導体総合カタログは2008年3月の様ですが、この素人が製作に取り掛かる際にDLしたのは2007年12月のものでした。以降、旧版ばかり参照していました。orz
(←カーソルを置くと2007-12版と2008-3版が切り替わります。)

素人に間違いが有る様に、プロにも間違いが有るのだなぁ、と。
自作に必要なものは、ミスをミスと見抜く実力なのだなぁ、と。
女房と畳とdatasheetは新しいものに限るのだなぁ、と。

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この夏に、大量の汗と共に流れ去った「努力」だとか「根性」だとか云うものも、鈴虫なのか蟋蟀なのか「テケリ・リ テケリ・リ」と奏でる虫の音に癒され、僅かづつでもそれらが回復し、充填されつつある秋の夜長、・・・ん? テケリ・・・リ・・・?

はて、外で物音がくぁwせdrftgyふじこlp;@

えー、大変失礼致しました。まぁ兎に角基板類も、悩んだり面倒だったり気が遠くなったり訳が判らなくなったりしながらも、漸く完成させることが出来ました。流石に莫迦素人が挑むには、難易度が高過ぎの作例だったのだなぁと、今更気付いた所でどうなるものでもなし、無理矢理にでも前に進むしかありません。

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信号部基板は天板に露出する螺子頭を最小限にすべく、ソケット
取付螺子で固定しようと考えたのが間違いの始まりだったかも。
その時はソケットと半導体間が最短距離に配線出来て、一体成型で華麗な基板に仕上がるという妄想が、やれGSDやらBCEやらPGKやらにCやRも絡み合って、もうね、脳味噌が卓袱台引っ繰り返すぞ状態です。誰だ、こんな配置を思いついた奴は。

羽生名人宜しく長考に長考を重ね配置を検討し、各半導体間は
最短距離っぽい配置に出来ましたが、ソケット端子やCやGNDへ
の配線は微妙に長いかもな仕上がりとなりました。或いは、更に長考を重ねれば、更に最適な配置に気付いたかもしれませんが、下手な考え休むに似たり、というか、もう限界っす。

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ほぼ完成したと思われる信号部基板です。
フィルム・コンは、巷の作例で良く見かけるAUDYN-CAPを投入してみました。
電源ラインには一般的なQSを、カップリングには錫箔のKPを奢ってみました。
が、QSは未だしもKPを使用した作例は見かけたことは無い様な気がするんですよね。
流石は錫箔、その手にずしりと感じる重みには期待させるものがあるのですが、
若しかして俺、地雷踏んじゃったのかな? そーなのか? 踏んじまったのか?

上條様の作例では、初段のFET周りは入力端子付近に纏められている様です。
この配置も真似すべきなのだろうと思ったのですが、ご解説には「V1aのカソードが
ノイズ を引き込みやすく注意を要する。」とあります。これはこの部分の配線材が長いと、
アンテナとなりノイズを捉える、という意味だろうかと思い、最短距離にすべく
基板上に配置してみました。んー、これで良かったんでしょうかねー。

そしてアースの引廻しをどうするか、又もや悩みまくりです。
結局は電源部へのアース母線を中心に、右に出力段、デカップリングコンを纏め、
左に初段廻りのアースを纏め、まるっと半田付けし一点アースとしてみました。

この真っ当に処理出来た様な気がしないでもないアース処理に至るまでには、
等価コンデンサのアースは出力段カソードに直結した方が良いんじゃないかとか、
その為にはQ8,Q9,Q10は信号部基板側に配置した方が良いんじゃないかとか、
電源部基板に用いたAT-48なら信号部の他に電源部の片側も載りそうだよなぁとか、
在らぬ妄想が次から次へと湧き上がり、休みっぱなしの日々を送る結果となったのでした。

勿論これは、「信号部ループを最短に接続する」というぺるけ様の教えよりの妄想
なんですが、こんな素人の思い付きの妄想など、何処に致命的な落とし穴が隠されているか
判ったもんじゃ無いですし、そうするには筐体の部品配置から遣り直すことになりそうなので、
素直に電源部と信号部に分け、組上げることにしました。

そもそも、「Trの等価コンデンサ 回路はコレクタ電流に信号電流が重畳する」とあり、
「信号電流をクローズドルーブに閉じ込めることは出来ない」とあります。
これはつまり、等価コンデンサを最短で繋いでも意味は無いということ?
うーん、コレクタを筒抜けて向こう側へ行った信号電流の運命や如何に?
大元の、整流直後のコンデンサのとこまで逝って戻ってくるのか?

素人に電気のことなど理解出来る日は生涯訪れそうも無い気がしてきました。


 

c_27.jpg

さて、これで必要なユニットは全て完成し、後は各部を配線材で繋げばもうじき完成!の様な気もしますが、実際には、
先ずは弐号電源基板の電圧調整をしてと。
それからC電源やヒーター電源も通電チェックをしてと。
AC廻りの配線や入出力廻りの配線をしてと。
信号部基板の配線をして、更に電圧調整をしてと。
完成までにはもう一波乱は有りそうな作業量が残っています。
んー、信号部基板、大丈夫だよなぁ。間違いは無いよなぁ。

みっちり掛かれば一週間で完成!なのかもしれませんが、
そこを二ヶ月掛けて完成させるのが素人クォリティーでしょ。
それにしても弐号電源基板、信号部とお揃いで、ええ塩梅かも。

c_28.jpg

実際に組上げる前に、各ブロックを仮配置して不具合箇所の洗い出しをしたんですが・・・orz。其処彼処に散見されやがります。
真空管ソケットの取付金具が微妙に天板と側台の隙間に食い
込んで浮いてしまうとか、ブロックコンを固定するL型アルミが微妙に長くて側台に引っ掛かり浮いてしまうとか、RCA入力端子と電源ブロック間の空隙が無さ杉とか、・・・相変わらずの詰め甘さが露呈しまくっています。

事前にあれだけ配置を検討しておきながら、この体たらく。
早くも波乱の御出座しだぞと対策を検討していたら、更に致命的なミスが有るらしいことに気付いてしまいました。

c_29.jpg

 

で、これが致命的なミスを回避する為に急造したC電源の追加基板です。
MX-280のタップは「280-0-70-280」となっていますが、この「0-70V」間を半波整流
している作例が記憶に有り、これをブリッジ整流としマイナス電源にしようと単純に
考えていたのですが、折り良く有難い掲示板にて、別件の0-70Vタップの使用法に
ついてご質問された方が居り、「うわっ、これじゃ拙いのか。」と気付いたのでした。
電源トランスの使い方も良く判っていないとは・・・orz

それじゃぁ、どうやって-80Vを確保しようかと検討し、最初に思い付くのは
半導体でよく利用される正負電源の作り方でした。
280Vを両波整流し、-390V辺りから-80V程に落とし、25mA流すと電力は8W。
余裕を持たせて30W級の琺瑯抵抗器が必要となりそうです。
うーん、今更8Wもの発熱体を筐体内に配置するのは、抵抗が有るなぁ。

となると、後は別途電源トランスを用意するしか無さそうです。
配置場所は出力トランスの真下となるので、漏洩磁束に配慮しトロイダルとし、
大きな電圧用の物が無いので二巻きを直列にし、これの両波倍電圧整流で
-80Vを確保しようと計画し、製作の為の知識を得るべく早速没入!(死語)。

倍電圧整流の仕組みについては、真空管SEPPOTLアンプのページ様の
整流回路についてより、お勉強させて頂きました。どうもありがとうございました。
ご説明を拝読し、電流値はブリッジ整流の六掛けの更に半分になるということで、
アンプに必要な25mAの倍に1.6倍で80mA以上の容量のトランスが必要、と。
電圧は、80Vにリプル・フィルタの電圧降下分を20Vの100V程度かな、整流直後で。
で、通常はタップの1.25倍程度の電圧となるので、倍電圧で2.5倍あたりかな。
100Vを2.5で割って、二次が40Vのタップのトランスを手配すればOK、と。多分。

回路としては、回路図のダイオードの向きを逆にするのと、コンデンサの極性
を逆にする、ので良いよなぁ、と思いつつ、2SAのトランジスタでリプル・フィルタ
を組めば完璧だろうと、莫迦素人なりに回路図をでっち上げてみました。
で、この回路図で正しいのか検証すべく、先達の方の作例を求めて、も一度没入!

かずさんNEW Big-One に、求める回路図は有りました。どうもありがとうございました。
CRフィルタが一段なのと、ツェナーを使わないこと位で、でっち上げ回路で良さそうです。
上條様のご解説には、「C電源は負荷となる回路がすべて定電流性で電圧変動に
影響されないため、CRでリップルを抑えるだけの回路としました。」とあります。
このご解説より、ツェナーの使用を見送ったのですが、Trのリプル・フィルタも
必要無さそうな気がします。が、相手は倍電圧整流、リプルも倍になるんだろうかと、
Trフィルタは付けることにしました。リプルを取り過ぎて困ることは無いでしょうし。

結局、C電源用トランスはRSさんの7VA・22Vのものを投入してみました。
5VAのものでも電流値が0.114Aと問題は無さそうなのですが、定格に対して余裕を
持たせると漏洩磁束の影響なども減少するらしいですし、価格差が150円なので。
あと、このトランスは逆さ吊りとなるので螺子穴を貫通させ、ナットで固定しました。

 

c_30.jpg

基板が完成したので早速電圧チェックです。負荷として3kΩを付けました。手持ちがこれしか無かったので。
そしたら整流直後で-120Vも出やがります。エミッタでは-95V。
何処を間違えたのだろうと思ったら、22Vタップから27Vもの
電圧が出ています。一次が115Vなので、22Vの10%offの電圧
になると思っていたのに。流石に弐拾壱世紀の経済大國候補印度様謹製のトランスは、供給電圧も大盤振舞して下さる様です。

定数を計算し直し、抵抗器を通販し換装して再度チェックをした所、エミッタ電圧が-83Vとなり、一件落着と致しました。
うーん、ツェナーで-80Vに固定した方が気分が良かったかも。
はじめて使う部品は事前に動作チェックをしろ!ってことですね。

c_31.jpg

これで漸く完成目指して組上げるだけとなりました。
弐号電源基板は、徐に天板に取り付けて電圧チェックです。
変な自信も付いていますので、多分大丈夫だろう、多分、と。

で、電圧調整は問題無く完了したのですが、どうも動作が変です。片ch側が、調整の最中に針飛びする様に電圧が一瞬変化します。これは何事だろうとあちこち突付き廻していたら、どうやら電解コンの半田付け不良らしいのでした。
今頃になって、芋とか天麩羅とか云うものにお目に掛かろうとは。・・・ふっ、己も未だに未熟者よのう。
えぇえぇ、未熟振りを噛み締めながら再半田させて頂きました。

c_32b.jpg

予定通りだったり作り直したり追加で作ったりした基板が、所定の位置に配置されていく様は、見ていて気持ちが良いなぁ。 
でも実際は、各基板間の配線の手順が、ああしてこうしてそうやってと、かなり面倒な事になったりしています。

それにしてもC電源基板の配置には無理矢理感が漂うなー。
SP出力端子に隣接し過ぎで、電源ノイズの悪影響を諸に被りそうです。更にACインレットにも接近し過ぎですし、この真下には
出力トランスが鎮座ましましてるし、どう見ても最悪の配置です。設計・構想の段階で完璧に練り上げてから製作に掛からないと、満足出来る仕上がりとは程遠いものにしか成らないぞ、っと。

c_33.jpg

 

後は出力段廻りとAC電源廻りの配線を施し、最後の関門、信号基板の
電圧調整を無事終了すればいよいよ完成となりそうです。が、上條様のご解説には、
「XE-60-2.5Sの一次巻線抵抗は66Ω、この電圧降下は8.25V」とあります。
U-808の場合、巻線抵抗が205Ω、電圧降下が25V強となりそうなのですが、
果たしてこれは10kΩの可変抵抗器の調整範囲なのかどうか。
それ以前に、信号部基板に間違いは無く、正常に動作するのかどうか。
世に心配の種は尽きまじ。

ここで更新が止まったら、「あぁ、やっちまったな」と。
「奴はまっ白な灰になっちまったな」と、御賢察下さいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



















 

 

 


・・・冗談はさておき・・・

c_34.jpg

 


最後の関門、信号部基板電圧調整最中之図。

さて、出力トランスのB-P間をクリップで挟んで、と思ったら挟めません。
仕方無いのでV2プレート−パスコン間で降下電圧を測ってみました。
U-808の銘板には「DC100mA」と記されていますので、取り敢えず100mA
流すべく降下電圧を20.5Vに想定し、調整してみました。
この設定だとバイアスが微妙に深くなり、歪率や最大出力が悪化するのでしょうが、
気にしません。気にするだけの知識が無いので気にしません。気にしないったら(ry

懸念であったVR1の調整も問題無く完了し、流石上條様の設計に抜かりは無いご様子です。
次は各部の電圧チェックなんですが、ご覧の通りV1のソケット・ピンにアクセス出来ません。
・・・何という最低最悪の配置。莫迦素人の面目躍如と云う所です。・・・orz
仕方無いのでTrの各ピンに、細心の注意を払いつつテスタ・リードを当て電圧チェックです。
各部電圧は、部品のバラつきや誤差の範囲内と思われる違いなので問題無いだろう、
と判断しました。信号増幅基板も正常に組上げられている様です。素晴らしすぐるなぁ。

・・・と喜んだのも束の間、もう片chを測定しようとクリップを繋ぎ換え、電源を入れると、
十秒も過ぎた頃、「ジリジリジリ」と云う様な異音が聞こえてきます。
音源はどうやら6CS7らしいのですが、「すわ発振!?」と思いきや、ミノムシクリップを
外したり球を交換したりすると出たり納まったり出なかったりで、原因が良く分かりません。

 

358.jpg

 

結局、球の交換で異音はしなくなったので、いよいよ試聴です。
第一聴、低域の響き方が違うなぁ、という印象です。打ち込み系には最強かも。
高域も、宇多様のKT88_STCアンプで感じた様に、響きがシャープにくっきりとしています。
いや、鋭く突き刺さる様な感じ?うーん、これを高域がキツいと言うのかも。
ま、完成直後ですし、暫くは聴き込んでみましょう。

一週間程もすると高域のキツさも和らいで聴こえる様な気もしないでもないんですが、
単に耳が馴染んだだけかもしれませんし、まだキツい気もするし・・・って、どっちなんだ?
低域も、ppアンプと比べるとシャープ&ソリッド&タイトで、とてもええ塩梅な分、
包まれ感みたいなものが不足というか、余り感じられないというか、うーん、難しい。

シャープ&ソリッド&タイトってのは、最強に強まったD.F値のお蔭だと思いますが、
低域の包まれ感ってのは、PPとSEの出力トランスの違いに因る圧倒的な
ヘンリー値の差がその理由なんでしょうかねー。
上條様曰く、「カップリングCの0.1μFは、ヒアリングで決定」とあります。
この容量を大きくすると低域が膨らみ過ぎるとのことですが、
当家の非力な18センチ級ウーファーだと、大きめにした方が良いのかなぁ。
それとも、「そんな貴方にこそEL34 STC Ver.1 PPアンプですよっ!」ってことかなぁ。

試聴開始から十日程過ぎ、取敢えず正常に動作しているっぽいですので、
も一度電圧調整をし完成させるべく裏返し、序に手持ちの6CS7を皆チェック
しようと差し替えていたら、又もやあの「ジリジリジリ」音の再発です。

 

c_35.jpg

どうやら原因は球では無く、片ch側の何処かに問題が潜んでいるのかも知れません。弄ってみて判明したことは、
P-B間のクリップの付け外しで出たり納まったりする場合がある。
入力端子からの二芯シールド線に手を翳すと音量が高まる。
シールド線を引っ張ったり伸ばしたりすると納まる場合がある。
音がする時、P-B間を測るAテスタの針が、びよんびよん振れる。

どうにも莫迦素人には謎な現象ですが、先ずは三番目の現象から入力廻りの半田不良、接触不良を疑ってはみたものの、はて、どうしたものかと迷い箸ならぬ迷いドライバをしていたその時、

ひっ と思った時既に遅し ヴッバチバチッ っと

377.jpg

おぉ主よ、その時わたしは見ました。正しくそれを見たのです。
遥かなる地の底から轟く魔物供の哄笑にも似た、聞く者の不安を掻き立て、戦慄に怯えながらも耳を塞がずには居れない不吉な音を響かせた、その魂の凍える永遠と等しい一瞬の後、電源部基板上で健気に務めを果たす素子群の一つから、殻を引き裂き、煉獄から解き放たれる歓喜に打ち震えながら熾天使に誘われつつ天空へと飛翔する、一条の蒼き光球と化した超三極管接続方式増幅器の魂が虚空へと消え去るその一瞬を、その一瞬の眩い火花の飛跡を、確かにわたしはこの目で見たのです。

エリ・エリ・タマ・オサラバニ
神よ 何故我が増幅器を逝かせたもう 

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一年掛けて作ったアンプを
たったの十日でぶっ壊した

でも後悔はしていない


いざ赴かん Act.2への道

 完成・大破 09年01月                                                                                                                                << HOMEへ >>